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普連土学園の魅力の一つに、奉仕プログラムがあります。中学から高校の6年間で奉仕について体系立てて学ぶことにより、ボランティア活動への理解も深まりました。
奉仕プログラムの中で特に印象に残っているのは高校2年生のホームルーム中に行った高齢者疑似体験です。この体験では、手首と足首におもりを付け、ヒザやヒジにはサポーターを巻き関節部分を曲がりにくくし、胴回りにはおもりの入ったベストを着用します。さらに、布製の手袋をはめ、レンズ部分が黄色みを帯びていて視野がせまくなったゴーグルと耳栓をして、杖を渡され校舎の中を歩くというものでした。体の自由がほとんどきかなくなった状態で校内を歩きました。実際に体験してみると想像していたのとは違い、一歩を踏み出すのも大変で、一緒にガイドをしてくれる2人の友だちに助けられながらの体験でした。
まず最初に、先生から渡された小銭入れの中から100円硬貨を取りだして自動販売機でジュースを買うことから始めました。普段は何の不自由も感じることなく行っていることですが、手袋をはめているので指先の感覚がなくなり100円をなかなかつかむことができません。たった一つの動作ですら大変な思いをするのだと感じました。そして、硬貨投入口へお金を入れるのも一苦労でした。細長い投入口は高齢者の方々にとって不便だと気付きました。もっと大きな投入口にしたほうがよいと思いました。
スロープや階段の上り下りも、普段歩き慣れているところでしたが体の自由がきかず思いの外時間がかかってしまいました。私は普連土学園でこの高齢者疑似体験をするまでは、急いでいる時にお年寄りがゆっくりと自分の前を歩いていたり、階段を一段一段登っていたりすると、つい苛立ってしまうことがありました。しかし、この体験を通していかに自分が自己中心的な考えをしていたか気付かされ恥ずかしくなりました。また、日常生活の中で高齢者の方々が不便を感じていることが沢山あり、普段の生活は健常者中心に設計されているということにも気付きました。だから、高齢者の方が困っていらっしゃる時は、「何かお手伝いできることはありませんか。」と勇気をだして声をかけてみようと思いました。そして、これらの体験が、社会人になった今、相手の立場に立って物事を見る、相手の視点に立つということに活かされています。

普連土学園では生徒自治会のボランティア委員会が主催する奉仕が年に約10回あります。老人ホームや長期療養をしている方々の施設でのお掃除や保育園のバザーのお手伝いなどが主なものです。私はこの奉仕に年に数回参加していました。
校外での奉仕活動は土曜日に行いますので集合が朝早いときは正直を言うともっと寝ていたいなあと思ったこともありました。でも、奉仕先で、普段はなかなか手が回らずお掃除が行き届かない窓拭きや車椅子の車輪拭きなどをさせていただき、利用者や職員の方々から、「まあ、綺麗になったわ。どうもありがとう。」と声をかけていただくと、本当に嬉しくなりました。お手伝いできて良かった、奉仕に来られて良かったと思いました。自分のできることはささやかですが、他の方のためにお役に立てたことがとても嬉しく心がほこほこと温かくなりました。
奉仕先は毎年、ボランティア委員会で奉仕をさせていただいているところでしたので、職員の方々が「普連土学園の生徒さんですね。」と温かく迎えてくださるのも嬉しかったです。私は普連土学園に入学するまでボランティア活動を体験したことがなかったので奉仕というものがよくわかりませんでしたが、普連土学園で何回か奉仕活動に参加することによって、奉仕は堅苦しく考えなくて良く、自分のできることでお手伝いさせていただくのだということがわかりました。
普連土学園で奉仕を体験したことにより、何事に対しても自然体で取り組めるようになったと思います。

普連土学園
http://www.friends.ac.jp/

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